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迅速な適応性(第5回)—発生プログラムの適応的な改変

日本生態学会 第60回大会(静岡) 自由集会

概要

企画
嶋田正和、三浦徹
日時
2013年3月5日(火)15時30分—17時30分
場所
グランシップ静岡

20世紀に体系立てられた「進化の総合説」や「分子進化の中立説」は、遺伝子頻度とDNA配列情報に基づく一側面からの進化の理解でしかなく、生物の多様な生きる姿・形(適応形態)を理解する上では無力だった。これに対して、20世紀の終わりから発展し始めた生態と進化と発生を連結する新しい研究分野(エコ・エボ・デボ)は大きな流れとなり、21世紀の進化学の中心課題となりつつある。これに即応したかのように、新しいエコ・エボ・デボ(進化発生生物学)の本、Gilbert S. F. and Epel D.(2009) 邦訳『生態進化発生学:エコ-エボ-デボの夜明け』(正木・竹田・田中共訳、2012)が出版された。エピジェネティクスを解明する分子細胞生物学が、表現型可塑性の生態的・進化的・発生的側面の知見と連携して、新しい「適応した姿・形」を解き明かすだろう。今回は、発生プログラムの改変による適応形態にテーマを絞って、4名の若手研究者に講演をお願いした。

演題

はじめに(趣旨説明): 形態形成の変異と環境適応
:   嶋田正和(東大・総合文化)
運動と可塑性が導く発生過程の適応的改変
:   梶智就(北大・環境)
可塑的かつ堅牢な昆虫肢形成を可能にするメカニズム
:   小嶋徹也(東大・新領域)
環境と発生システムの相互作用が制限または増進する進化可能性
:   岩嵜航 1 ・津田真樹 2 ・河田雅圭 1 (1 東北大・生命科学、2 理研・基幹研)
アリの新奇カーストにみられる発生過程と環境応答
:   宮崎智史 1 ・三浦徹 2 ・前川清人 1 (1 富山大・理、2 北大・環境)